乾くるみ「イニシエーション・ラブ」を読んだ(がっつりネタばれ有り)

青森県立図書館で借りた「イニシエーション・ラブ」を読み終えた。
これもまた、読書系youtuberのかたが「ラスト2行でのどんでん返しが凄い」と紹介していたもので「恋愛小説ではあるが分類的にはミステリーになる」というのが意味わからなくて、そこに興味持って借りてきたのだった。さきほど読み終えて、ラストのどんでん返しが凄いという点もミステリーだという点も、大変納得しているところ。
話の運びは、Side-AとSide-Bに分かれている。Side-Aでは、大学生のタッくんがマユと合コンで出会って、付き合うまでの課程が描かれており、Side-Bでは社会人のタッくんが東京に配属され、遠距離恋愛を経つつもいろいろあって最後にはマユを振るところまでが描かれる。テレホンカードやカセットテープが登場するなど、1980年代の20代の若者の恋愛ってこんな感じなんだなというのが良くわかる。
<注意:以下からネタバレ書きます>
肝心のどんでん返しについては、なんとまさかまさか。Side-Aのタッくんと、Side-Bのタッくんは「全くの別人」であったことが、ラスト2行で初めて読者に明かされるというものだった。時系列的に、Side-Aの大学生タッくんが、Side-Bで社会人になったのだと思っていたのにこれもまたフェイクで、まさかの「AとBは全く同じ時期」だったとも判明してしまう。
つまりマユは同時期に、二人のタッくんと平行して付き合っていたというのだ。これがわかった瞬間に、自分はすぐに今まで読んできた、割と退屈めのタッくんとマユの恋愛のやりとりを凄まじい勢いで読み返すことになった。そういえばAタッくんがマユに入院するからとデートを断られた時、マユはBタッくんと一緒に病院に行っていたな。
また、Bタッくんがマユを海に誘ったが、すでにマユは一週間前にAタッくんと海に行っていたので日に焼けていたな。さらにマユの家にはAタッくんが貸した本があってBタッくんが不思議がっていたし、最初の合コンの場ではマユはBタッくんが送ってくれた指輪をつけていたし、そのごBにフラれてからは指輪はしなくなった。なんでもない描写が全部、どんでん返し後の説明文になっている。
凄い、これはまさに、恋愛小説をうたった完全なミステリ小説だな、と。凄まじい叙述トリックで、自分は最初からなんらかのどんでん返しがあるということを知っていたのに見事やられた感じがする。これ、調べたところどうやら映画化もしているらしいけど、この衝撃的なラスト2行をどうやって映画で表現するんだろう??2人いるタッくんをどう映像で隠すことができるんだろう。興味が尽きない。
●キャラクター:3ポイント
読み終えた後、かわいい印象だったマユがとにかく怖いと感じる。
●世界観・雰囲気:3ポイント
1980年代の雰囲気が恋愛小説の描写を通じて理解できる。
●ストーリー:3ポイント
普通に読んでるだけでは本当に普通の男女の恋愛風景を描写したものでしかなく、割と退屈に思うことも。
●読みやすさ:4ポイント
タッくんの主観で話が進んで行く。会話も多いしページ数も少な目で読みやすかった。
●どんでん返し:5ポイント
衝撃的過ぎた。なるほど、全てはこれ(ラスト2行)をやりたかったのね、と。